一条工務店を選ばなかった理由

ハウスメーカー評価

タイルの目地(縦線)が気に入らなかった

一条工務店の外壁タイルは、通常では発生し得ない目地(縦線)が発生します。一条工務店のタイルは非常に安いことで知られており、その縦線を見るだけで、一条工務店で建築したことが分かってしまいます。

タイル自体は非常に意匠性が高い物で、外壁に使用すれば重厚感がありますが、その縦線がある時点で台無しになってしまいます。そして、その目地に関してはメンテナンスが30年に1回の頻度で必要となります。メンテナンスのスパンも長いですし、費用自体も足場代含め68万円と塗装費用に比べれば大したものではありません。

それでも、外観の美観的損傷、一条工務店だと周知させる外壁は採用に憚られるものがありました。アクセントとして大判タイルを採用することもできますが、結局のところ組み合わせはハイドロテクトタイルと大判タイルという定型のものとなってしまい、工夫のしようがありません。

我が家は二世帯住宅で親世帯がデザインにこだわりたいということで、縦線が発生してしまうタイルは大きなマイナスポイントとなりました。

屋根の形状が限定される

一条工務店は、商品にもよりますが、基本的に片流れ、または切妻屋根しか選ぶことができません。そうなると、デザインが限定されていき、我が家が望んでいた和モダンの外観は到底作れそうにありませんでした。

デザイン的な好みは住友林業の様な外観で、屋根は寄棟です。そうなると一条工務店の看板商品であるグランスマート・アイスマートでは採用することができず、別の商品になると性能が落ちてしまうため、一条工務店である必要性が無くなってきます。

外観が一条丸出し

一条工務店の外観はとても特徴的で、見ればすぐに一条工務店だということが分かってしまいます。

それを是とするかですが、一条工務店は積水ハウスの様なハイブランドというわけではありませんので、どちらかと言うとマイナス要素が強い気がします。

一条の外観は和モダンや洋風などそういったくくりの外にあり、それ以上でもそれ以下でもありません。一条の外観は一条でしかありません。

一条工務店も家は性能と謳っており、外観に力を入れているわけではありません。害如何にこだわりたいという方は一条工務店は避けたほうが無難でしょう。

我が家は、せっかくの注文住宅なのに、ある程度のパターンからしか選べないということを嫌い一条工務店との契約には至りませんでした。

ハウスメーカー自体が、注文住宅といえどある程度の定型の中から選ぶ使用にはなっていますが、一条工務店は選択肢が狭すぎるように感じいられました。

基本的に選べる設備が自社製品

一条工務店で建築すると、キッチンや洗面台などの住宅設備が一条工務店が自社製造したものの中からしか選べません。我が家が建築しようとしたフランチャイズの支店ではメーカー品は不可でした。

ただ、最近ではその仕様が緩くなっているようで、メーカー品を導入したという施主様もチラホラいらっしゃいました。

しかしながら、ハウスメーカーの利点として、大量入荷・大量消費によりメーカー品の仕入れ値を下げられることが挙げられます。

もちろんそれに、ハウスメーカー側の利益も乗っかるわけですが、提携のあるメーカーの製品は個人が買うよりも安く仕入れることができます。

一条工務店は、メーカー品を仕入れるということを基本的にはしないため、仕入れ値が他のハウスメーカーと比べると高額になりがちです。

我が家は二世帯住宅で、キッチンが二つ付いていますが、一つがリクシルの最高級グレードのリシェルSIでもう一つがリクシルの最廉価グレードのシエラSをビルダー向けにさらに値段を落としたESという商品を導入しました。

リシェルSIを希望した親世帯が、一条のキッチンはバリエーションも少ないし、デザインもイマイチだから絶対に嫌だということで、リシェルを有利に入れられる他社を選択する大きな理由となりました。

浴室に関しても、親世帯はリクシルのスパージュを選択しており、肩からお湯が出る使用は一条工務店では叶いません。

洗面台もリクシルの最高級グレードルミシスのハイバックベッセルタイプを採用しており、他社ではそのようなデザインの洗面台はありませんので、一条工務店ではできない仕様でした。

一般のハウスメーカーであれば、住宅設備は5社程度から選ぶこととなり、それを選ぶことも注文住宅の楽しみであるといえます。キッチンなどで、採用したいデザインが一条工務店にない場合は他社を選ぶほうが無難でしょう。

一条で建てるならローコストでいい

一条工務店の最大のメリットはずば抜けた断熱性能による光熱費の削減です。つまり、一条工務店で建てたい人は、家は性能で外観や住宅設備にこだわりがないから、メンテナンス費や光熱費を削減したいということだと思います。タイルの採用も意匠性を目的としているわけではないでしょう。意匠性を目的としているならば、あの縦目地は許容できないはずです。

つまるところ、家にお金をかけたくないわけです。

だとしたら、家にかかる総額で言うとツーバイを建てているローコストメーカーのほうが、トータルコストでは優れています。絶対に一条工務店は勝てません。

我が家が見積もりを取った、全国区ではない小規模ハウスメーカーと一条工務店での見積もりの差額は1,800万円でした。

ローコスト住宅のUa値が0.5として年間の光熱費の差額は7万円となるわけですが、60年経ったとしても420万しか差が縮まりません。外壁や屋根の塗装費を合わせて考えて塗装費は60年で1200万円です。

合計1620万円となり、差額が回収できません。加えて、住宅ローンを利用してマイホームを購入される方がほとんどだと思いますが、金利1%で年間約18万円の差額が発生します。どんどん縮小していくとは言え、その差も考慮するとさらに開きが生まれます。

そもそも、(初期)投資と考えると60年経たないと元が取れないようなものは、投資として成立していません。

ローコストと一条工務店は使っている木材に違いもありませんし、一条工務店でも10年に1度のスパンで防蟻処理を行わなけでばなりません。

ローコストであったとしても、ツーバイであれば明確にルール化された建築方法なのでヘタに耐震性が低い家は建ちませんし、2×4と2×6の耐震性の差は4%です。

一条で建てるのであれば、外壁にニチハのFuge、キッチンにはクリナップのステディア、床材はダイケンのトリニティでも使って建てれば、コスト面では圧倒的にローコストに軍配が上がります。

外観や設備を求めていない以上、一条工務店の優位性はよほどの寒冷地でない限りは失われます。いや、よほどの寒冷地でも一条工務店に優位性はないでしょう。

一条工務店の良いところ

断熱性は他社の追随を許さない

一条工務店の断熱性は他社と比較しても優れており、我が家の間取りで一条工務店で建てたとするとUa値は0.20となり、実際の我が家の0.36を大きく上回ります。

我が家は日本ハウスホールディングスで建てましたが、付加断熱を採用したとしても0.24となり、一条工務店が上回っています。

冷暖房費の差額で言うと、4地域で延床面積50坪の我が家は12月と1月の平均気温が0℃となり、1ヶ月当たり9,000円の差が出ます。

ただし、一条工務店が使用している硬質ウレタンフォームは経年劣化により性能が25%低下します。すると、Ua値は0.22となり1ヶ月あたりの光熱費の差額は7,000円程度となります。

年間を通すと大きく見積もっても3万円の差です。年額3万円をどう見るかは判断が分かれるところだと思いますが、一般的な年収の1/100以下であることを考えると、大きな金額とは思えません。

しかしながら、やはり低Ua値はロマンがあり、そのような家に住んでいるということに対する満足感が得られる可能性があります。

例えとして適切かは分かりませんが、オーバースペックだと分かっていても、Core i-9(一般向け最上位グレード)のパソコンを使っていることに優越感を覚えるような感じだと思います。

太陽光パネルが屋根として優秀

一条工務店では太陽光パネルを屋根として使用することができます。通常、太陽光パネルは屋根材の上にパネルを並べるという方法がとられますが、一条工務店は屋根材を設置せず、直接太陽光パネルを設置します。太陽光パネル自体は安いものの耐用年数が短いという性質がありますが、表面が強化ガラスでできており、仮に太陽光パネルが壊れたとしてもそのまま屋根として使用することができますし、下地(屋根材)のメンテナンスが必要ありません。

ソーラーパネルはもちろん塗装する必要がないため、塗装費用も掛かりません。表面にガラスコーティングがされている釉薬瓦の様なものと考えることができます。

無論、下地には改質アスファルトルーフィングが使われており、そちらのメンテナンスは必要になります。あくまで、屋根の塗りなおしが必要ないというだけです。

まとめ

一条工務店を選ばなかった理由としては、注文住宅といいつつも圧倒的な不自由感。そして、物の割に高い値段設定。そして、トータルコストでローコストに劣るという不合理さです。

家は性能。一見合理的のように感じますが、つまり断熱性の高さによる光熱費の削減効果を謳っておきながら、トータルコストでローコストに劣るとなるといよいよもって一条工務店で建てる意味が無くなると考えられます。