セキスイハイムを辛口評価 鉄骨編

ハウスメーカー評価

セキスイハイムの基礎

セキスイハイムは本州ではベタ基礎、北海道では布基礎の二度打ちとなっています。ベタ基礎を採用するのは鉄骨住宅では珍しいです。

鉄骨住宅の弱点である、底冷え改善のため床下エアコンを設置するためにベタ基礎を採用しているものだと思われます。

主筋の太さの記載はなく、実例では200㎜ピッチで配筋されていました。アンカーボルトはM16またはM20で特別太くもなく、細くもなくといった感じです。

基礎強度は24N/㎟でこれまた普通。立ち上がり幅は16㎝と高水準です。

その他、詳細の情報はなく、これまでの情報を鑑みると普通より良いといったところです。基礎の評価はBです。

構造躯体は高水準

セキスイハイムの構造躯体の防錆加工はZAMメッキというものが採用されており、耐用年数は140年です。

積水ハウスのカチオン電着塗装100年、大和ハウスのカチオン電着塗装75年と比べても頭一つ抜き出た耐用年数となっています。

鉄骨も100㎜または120㎜角の厚さ3.2㎜のものを使用しています。他社より太めであると言えますね。

構造もラーメン構造・ユニット構造を採用しているため、積水ハウスや大和ハウスとは同じ軽量鉄骨造でも根幹が違うと言えます。

普通に考えれば、ブレース構造よりセキスイハイムのユニット構造のほうが耐震性に優位性はあります。その分間取りなどに制限を受けるという弱点もありますが。

とにかく頑丈さ重視という方は、重量鉄骨または軽量鉄骨でもラーメン構造が適しています。

基礎断熱を採用しているため床下空調ありき

先述した通り、鉄骨造では珍しく基礎断熱を採用しています。基礎断熱とは住宅の下方向の断熱方法の一種で、ほとんどのハウスメーカーは床下に断熱材を施工する方式を取ります。

これにより、鉄骨の弱点である熱橋の影響を軽減しています。

一般的な鉄骨住宅だと下図右のようになりますが、セキスイハイムでは左のようになります。

ただし、基礎内は地中熱の影響を受けるわけで、基礎内温度は無暖房の場合で冬季約15℃、寒冷地の場合は約10℃となります。冬季の室内温度は23℃程度には保ちたいので、かなりの温度差が発生していることになり、それに対する断熱施工(熱橋対策)はされていません。

その場合、床の底冷えは必至で、下から温風を出す快適エアリーまたは床暖房の導入がなければ快適性は著しく損なわれます。快適エアリーの導入費用は1階100万円2階50万円です。

基礎断熱はシロアリ被害に遭いやすい断熱方法であるものの、構造体が鉄であるセキスイハイムと、相性が良いとも考えられますが、熱橋の影響も無視できません。

そのため、省エネ性という点では基礎内断熱というのは非常に良くない工法です。

まず、基礎断熱というのは基礎内を室内と同様に扱い床下を有効活用するための断熱方法です。

しかしながら、この基礎内断熱は室内の温度がコンクリート内を伝導し基礎立ち上がり部分から大きな熱損失が発生します。くわえて、地中熱も外気温が0℃の場合、基礎スラブの下の地盤の温度は10℃程度です。もちろん室内より低い温度になるため、地中方向へも熱損失は発生します。

コンクリートと土は蓄熱量が非常に高く、冷めにくいですが温まりにくいという性質があります。

地盤の温度が、室内で駆動しているエアコンの効果で室温より高い温度になることはまずありえないので、無意味に地盤まで温め続くることにエネルギーを使い続けることになります。

また、土質や土の含水量にによっても熱伝導率が大きく変化します。土の含水量が多いほど熱損失が大きくなります。それは、カタログ上のUa値には反映されていない要素ですので、想定以上に光熱費がかかる原因になりかねません。

地中の温度が15℃程度に保たれる温暖地であれば、理想とする室内温度との差が少ないため、許容されるかもしれませんが、外気温が頻繁に氷点下を下回るような寒冷地では、基礎内断熱は適していない工法といえるでしょう。

北海道のセキスイハイムであれば、断熱方法は床下断熱となりますのでこの問題は解消されます。

Ua値は鉄骨としては普通つまり悪い

Ua値は約0.46w/㎡kとなっております。鉄骨住宅としては普通といったところですが、木造住宅と比較するとやや物足りません。ローコスト住宅でも普通に出せてしまう数値です。

加えてセキスイハイムはフラット屋根が多いため、そこまで、天井の断熱材を厚くできません。

屋根裏空間が確保できる住宅では、30㎝を超える厚さで断熱材を施工しますが、セキスイハイムは最大20㎝です。高性能なグラスウールを使っていますが、所詮はグラスウールですので熱抵抗値は低くなっています。

そして、フラット屋根の弊害として、夏に厚いという問題点もあります。断熱性は省エネ性ありきで語られることが多く、暖房費のほうが冷房費と比較して多くなるため、冬季ばかり気にしがちですが、セキスイハイムは独特の形状も相まって、夏にも問題を抱えてしまいます。勾配がある屋根のドマーニを選択すれば多少は緩和されるかもしれません。

気密性が低いのに第一種換気推奨

セキスイハイムのC値は1.5㎝/㎡ほどに落ち着く模様。とても高気密とは言えない数値です。

気密性が重要になってくる第一種換気ですが、気密性を確保できないにもかかわらず推してきます。換気機能の優秀さはさておき、建物がそれに追従できていないという状況です。

やはり気密性が確保できないと、全館空調や第一種換気の採用は憚られます。

第一種換気に気密性が必要な理由を補足しておくと、隙間があるということは外からの風圧によって隙間風が入ってきます。そして、室内の空気がまた別の隙間から排出されます。冬場は温められた室内の空気が屋外へ排出する時に冷やされ結露が起こります。さらに、第一種換気は室内の湿度が高くなる状態を保つものですので、結露のリスクはさらに高くなります。

壁内結露は部材を傷める原因になりますし、使用している断熱材はグラスウールですので湿気により断熱性が低下するというリスクもあります。

第三種換気の場合、風が隙間から入ったとしても常時負圧の状態ですので、普通に空気は排気口から排出されますので、内部結露のリスクは低いです。

第三種換気の場合でもC値は0.5㎠/㎡が理想値とされていますので、セキスイハイムは乖離しすぎています。

対策としては規定されている換気量0.5回/hを上回る換気量を第三種換気で確保することですが、換気量が増えれば熱損失も増えますので、省エネ性は悪化します。

第一種換気を採用した場合も気密性が悪い場合、計画した換気(換気システムを経由する換気量)がおぼつかなくなるため、実際の熱交換率と齟齬が生じる可能性が高いでしょう。

夫婦・親子で揉めやすい不自由な外観

セキスイハイムのユニット構造は男心をくすぐるものがあり、考え方も合理的で理系男子に特に好かれるようです。

しかし、女性はハイムだけはあり得ないと猛反対することが多いです。

理由としては特徴的な外観です。

まず、セキスイハイムのユニットは、奥行が2.4mで幅が1.8m・2.7m・3.6m・4.5m・5.4mの5種類奥行きが1.2mのハーフユニットもあわせれば10種類です。

面積対費用が良いのは5.4mのユニットです。(ネットでは4.5mが最もコスパがいいとありましたが、セキスイハイムの担当さんにそのことを伝えた上で確認しました)

当家では価格を抑えるために、5.4mのユニットを2つ横に並べる形をベースとし、そこに3.6mハーフユニットをつけるという形を取りましたが、凹凸に乏しくのっぺりとした外観になりやすいです。

セキスイハイムの営業所長も自宅をセキスイハイムで建築するとき、奥様と外観でひと悶着あったそうです。

セキスイハイムでカッコいい外観を作るにはユニットを3列配置して、3階建てにするなど多額の費用をかけなければ厳しいように思えます。

間取りもかなり不自由

先述したとおり、ユニットの組み合わせによって間取りを作るため、多くの制約が出てきます。

当家がされた提案では、廊下が長くなったりなど無駄が多い間取りでした。

ユニットの柱が4つ集中する部分は、柱を出すか、柱の太さに壁厚を合わせるしかありません。

図左のように壁厚を柱に合わせると部屋が狭くなりますし、右の図のようにすると、部屋の壁に不自然な凹凸が発生します。

柱を抜くこともできますが、もちろん無料でというわけではありません。約50万円かかります。

階段も不自由で、ユニットどうしをまたげないという性質があるため、位置や形状が制限されます。

吹き抜けを作る際も不必要な梁が出現したりします。

ソーラーと蓄電池も提案されるが普通に高い

当家の場合、ソーラーパネル10kwと蓄電池5kwで450万円の増額でした。

日照条件が良い地域で、売電価格から電気使用量を引いた利益が年間15万円という情報がありました。

一般家庭の年間の電気代が10万円と見積もると約25万円の差額が発生することになり、20年間でもとはとれるかと思いますが、売電価格の低下と発電効率の経年劣化などを考慮するとどうなるのかわかりません。

自然災害の時には確かに太陽光・蓄電池は有効かもしれませんが導入は慎重に検討するべきでしょう。

一条工務店の場合、自社製造ということもあり、同等の規格で200万円でした。

考え方が似ているセキスイハイムと一条工務店ですが、太陽光発電に関しては一条工務店に軍配が上がります。

セキスイハイムの3種の神器

・・・すみません。思いつきません。

当サイトの3種の神器は、そのハウスメーカーしか採用できないもの、またはそのハウスメーカーであれば安く施工できるものとしています。

セキスイハイムにはそれがありません。

ユニット構造ならトヨタホーム、床下エアコンは工務店、ソーラーパネルなら一条工務店など

ハウスメーカーに限れば床下エアコンは条件に適合するでしょうか。しかし、セキスイハイムの省エネ性で全館空調をした暁には光熱費がとんでもないことになります。

ソーラーパネルで補填しても、他社なら売電に回せるものも自家消費で終わってしまいますので、コストパフォーマンスは良くないです。