積水ハウスを辛口評価 イズ・ロイエ

ハウスメーカー評価

積水ハウスの基礎

積水ハウスの基礎は布基礎一体打ちを採用しており、一体打ちとは基礎のベース部分と立ち上がり部分を一度に打設することで、本来であれば発生してしまう継打ち部の脆弱層の形成を防ぐことができます。ただし、施工難易度が上がるという欠点があるため、理論上と同じ強度がでるのか確認が必要です。

そして、積水ハウスの基礎の特徴は、独特なフーチングの形であり、通常は長方形になるフーチングの断面が、積水ハウスは半円の様な形をしています。一般的な基礎では必要となるベース筋も入っていません。ベース筋の役割は地面から押し返される力により、フーチングが曲がることを阻止することですが、基礎の形状を工夫することによりベース筋を不要としています。

その理由は、フーチングが三角形に近い形をしているため、曲げる力に抵抗する力が強くなっていること、そして、曲げによる破断は角度が45度で起こるため、それより鋭角に施工されれば鉄筋による補強が必要ないと判断されたためであると考えられます。

立ち上がり幅は160㎜・フーチング厚は180㎜以上とどちらも厚く、ベース下端から立ち上がりまでの高さは760㎜とされており、根入れを360㎜とした場合の基礎高が400㎜となりこれはごく一般的といえます。主筋も一般的な13㎜のものより6㎜も太い19㎜の鉄筋を使っており、配筋ピッチも200㎜と高水準。アンカーボルトもM22と太いものを使っています。基礎形状が独特であるため、他社との比較が難しいですが、数値だけで見るとS評価です。

意匠性に関しても基礎の立ち上がり部分が表面がデコボコしており、そこに御影石風の塗装を施すことでさらに見た目が良くなります。それだけで他社と区別がつきやすく、積水ハウスというハイブランド住宅を建築したことを周知させることができます。

積水ハウスの構造材

構造躯体で使用される構造材は3重の防錆コーティングが施されており、耐用年数は約100年となっております。ただし、このコーティングは溶接部、切断部を除く1階の軸柱、下部ベースプレート、下弦材、横桟のみに採用されています。つまり、それ以外のところは耐用年数100年ではないということです。一部が100年もったとしても、それ以外の部材が早くに耐用年数を迎えてしまっては、建物全体で考えた場合、100年もつ住宅とは言えません。だからといって、3重コーティング以外の部分がすぐ錆るということはないと思いますが、そのことをどのようにとらえるか判断が分かれるところだと思います。付け加えると、仮に錆が発生したとしても、腐食は30年間で9㎜程度となり太さ3.2㎜の鉄骨材を使っていた場合、2.3㎜残るので問題にはなりません。30年の構造躯体初期保証がありますが、そういった理由かもしれません。

加えて、積水ハウスの構造躯体保証は初期で30年ありますが、軸組(柱)の主な点検項目には「傾斜」「ひび割れ」「欠損」です。腐食はありません。そして、地震などによる被害は対象外です。普通に暮らしていて「傾斜」「ひび割れ」「欠損」などまず起きないでしょう。もし起きたら大問題ですので、それは明らかな施工不良・または初期不良によるものですから、保証されて当然と思えるものです。

一言で30年保証といっても、その内容はメーカーによってまちまちであり、保証されると思っていた現象も対象外ということが起こり得るのです。積水ハウスの保証のチェックシートを確認する限りでは、内容の提示は最低限のものに留まっております。30年保証がついてるから安易に安心とは言えません。

しかしながら、一般的に鉄骨造は耐久性に優れており、構造の主要な部分にカチオン電装塗装を含む3重コーティングがされていることから構造体はS評価とします。

積水ハウスの断熱性・気密性

積水ハウスの鉄骨造に断熱性を期待してはいけません。積水ハウスのというよりは、鉄骨造の建物に対してという方が正しいかもしれません。

通常仕様でC値5㎠/㎡・Ua値0.6w/㎡以下となります。オプションで気密施工が坪単価1万円ほどアップでできますがそれでもC値2㎠/㎡以下を目指すというもので、お世辞にも高気密とは言えません。気密施工を行うと断熱材も合わせてグレードアップします。それによりUa値も間取りによっては0.46w/㎡kくらいは狙えるのではないでしょうか。

スーペリア仕様というさらに上位グレードの断熱オプションもありますが、気密施工と合わせて金額は不確かですが300万円増額という情報と100万円増額という情報があります。いずれにせよ高額オプションになるようです。

同社木造商品シャーウッドでスーペリア仕様を採用してUa値0.38w/㎡kという実例があり、普通というか全然大したことないです。北を本拠地とするハウスメーカーであれば、標準仕様で出せる数値です。

スーペリア仕様は詳細が公開されておらず、断熱材の種類や厚さなどが不明です。しかし、この数値から鑑みるに、外張り付加断熱ではないと思われます。仮にそうだったとしても極薄の断熱材を申し訳程度に外張りに使用したものであると考えられます。ネオマフォーム60㎜を外張りに使用すると、通常は130万くらいの増額なので、正直、コストパフォーマンスが非常に悪いと言えます。

ただ、積水ハウスの断熱方式は天井・壁・床すべてに熱橋対策が施されている「ぐるりん断熱」というもので、鉄骨造でも局所的な冷気による不快感は軽減されるでしょう。

窓に関しては、SAJサッシというオリジナルのアルミ樹脂複合サッシを使用しており、確かに複合サッシにしてはそれなりに優秀な性能なようです。超高断熱サッシと触れ込みをしておりますが、樹脂サッシと比べると普通に性能は劣るため、勘違いを生みやすい言い回しです。加えて、リクシルでも同等以上の性能の窓が発売されているため特に強みにはなり得ません。

外壁は結局のところサイディング

積水ハウスの鉄骨商品の外壁材「ダインコンクリート」ですが、結局のところ工場製造された板状のコンクリートです。一般的な窯業系サイディングと比較して、違いとしては厚くて衝撃に対して頑丈ということだけです。

ただ、それは住宅の外壁のメリットと数えていいものなのかは疑問です。時速150キロで硬球がぶつかっても耐えられるようですが、そんな状況はまず発生しないでしょう。外壁材に求めるものが頑丈さだという人にはおあつらえ向きといえますが。

しかし、角などに欠けまたは塗膜の剥がれが発生することがあり、細部の頑丈さまでは確保できていません。画像だけでは、塗膜が膨れて破れたのか、コンクリートが欠けたのかまではわかりませんが、築数年でそのような現象が発生した例があります。

表面塗膜についてですが、以前までは耐用年数15年とされていましたが、2011年1月より耐用年数が30年と変更になりました。現在で当時の新築が2024年現在で13年目となりますので、実際の再塗装のスパンについては不明です。築浅でも白い外壁を選択した場合、数年でかなり汚れが目立つという施主様の情報の動画発信もありましたので色によっては美観的損傷は起こると考えてよいでしょう。

加えて、目地の数が一般的な窯業外壁より増えてしまうこともデメリットです。打ち替え費用もかかりますし、外壁より先にまず目地がダメになります。

制振装置の設置位置の兼ね合いから、1階部分と2階部分の目地がずれてしまうこともあり、目地が目立つ色柄だと気になるでしょう。特に白系の目地は経年劣化で黒ずむのでますます目立つようになります。

これが積水ハウスの目地を踏まえたイメージです。混ぜの発生場所は家の角・窓周り・1階と2階の継ぎ目です。間取りや制振装置の影響で上下の目地のどこかにしわ寄せが来ます。

深い彫は意匠性がありますが、大和ハウスの窯業外壁も彫が深いため、コンクリートでなければできないというものでもありませんが、デザイン基礎と合わせて見れば特徴的な外観になり、すぐに積水ハウスの家だと分かりますので、ブランドの誇示には使えます。

そして、積水ハウスにはSHストーンというアクセントで使用されることが多い外壁材もあります。

そちらは、ボード状にしたものを張り付ける目地が発生するサイディング状のものとと、タイルのように張り付ける意匠性が高いものがあります。

ダインコンクリートを最高級外壁といいつつも、SHストーンを採用すると追加費用が掛かるようです。

目地がなくなり再塗装が必要なくなる分、メンテナンス費用は少なくなりますが、SHストーンの差額を回収するのは難しいでしょう。

積水ハウスの展示場を見るとかなりの高確率で、このSHストーンが広範囲に施工されています。SHストーンなしに意匠性を確保することは非常に難しいと言えるでしょう。

つまり、ダインコンクリートだけでは意匠性に欠けるということです。積水ハウスでデザイン性を重視するのであれば、かなり高額な費用が掛かることは覚悟しましょう。

積水ハウスの換気システム

積水ハウスではスマートイクスという第一種換気を採用できます。ただし、この換気システムの導入は完全な悪手です。

第一種換気の導入には気密性が重要だからです。第一種換気に理想的な気密性はC値0.09㎠/㎡とされています。積水ハウスの公称の気密性能は5㎠/㎡ですので50倍以上の隙間があります。0.09㎠/㎡は理想値だとしても、最低でも1㎠/㎡できれば0.5㎠/㎡というのが、住環境を考える専門家の意見です。

積水ハウスの鉄骨造は気密施工をオプションで採用したところで、2㎠/㎡を切る程度なので、第一種換気を導入するのに向いていません。積水ハウスで家を建てる際は第三種換気がおすすめです。

第一種換気に気密性が必要な理由を補足しておくと、隙間があるということは外からの風圧によって隙間風が入ってきます。そして、室内の空気がまた別の隙間から排出されます。冬場は温められた室内の空気が屋外へ排出する時に冷やされ結露が起こります。さらに、第一種換気は室内の湿度が高くなる状態を保つものですので、結露のリスクはさらに高くなります。

壁内結露は部材を傷める原因になりますし、使用している断熱材は湿気に弱いグラスウールですので湿気により断熱性が低下するというリスクもあります。

第三種換気の場合、風が隙間から入ったとしても常時負圧の状態ですので、普通に空気は排気口から排出されますので、内部結露のリスクは低いです。

それでもC値は0.5㎠/㎡が理想値とされていますので、積水ハウスは乖離しすぎています。

対策としては規定されている換気量0.5回/hを上回る換気量を第三種換気で確保することですが、換気量が増えれば熱損失も増えますので、省エネ性は悪化します。

積水ハウスの3種の神器

積水ハウスの3種の神器は

・デザイン基礎

・ダインコンクリート(外壁)

・上記2つによるブランド誇示

であると考えられます。

積水ハウスほど外観でハウスメーカーを特定しやすいケースは非常に珍しいです。住宅建築を考えたことがある人なら、一目見れば積水ハウスの家だとわかるでしょう。

ブランドはステータスであり、積水ハウスはそのトップクラスであると言えます。