日本ハウスホールディングスを辛口評価

ハウスメーカー評価

日本ハウスの基礎

日本ハウスは北東北以北布基礎、南東北以南をベタ基礎としていますが、地盤調査の結果により臨機応変に基礎形状を決定します。どちらも二度打ちです。

立ち上がり幅は16㎝と、配筋ピッチは200㎜、と高水準。基礎高は40㎝フーチングの厚さは16㎜、主筋はD13、基礎強度は24N/㎟と普通です。オプションで30N/㎟に強度を変更できますが、建坪×2万円増額します。30NならA評価でもよかったのですが、今回は通常グレードで評価し、B評価としました。

日本ハウスホールディングスは標準仕様で余剰にマージンを取るのではなく、地耐力や建物等を考慮して基礎の使用を変更していくスタイルですので、地盤や間取りに問題がなければこのような数値になります。

構造躯体は檜と米松または杉と米松の混合集成材

柱と土台は檜KD105or120mm、大引と梁は米松KD、スパンを飛ばすときは杉と米松の混合集成材ハイブリッドビームが使用されています。KDとは人工的に乾燥させた木材のことです。

檜の耐朽性・防蟻性は言わずもがなですが、床を支える大引には米松105mmを使用しています。

強度としては米松>檜で曲げヤング係数に大きな差があります。もともと檜自体の強度はそれほどでもなく、縦方向に使うのに適した木材です。寝かせて使う梁や大引には強度的には米松のほうが優れています。土台ヒバ、柱はヒノキ、梁はマツという言葉があるくらいですので、松は横方向に使う場合適しています。ただ、米松はマツ科ですがトガサワラ属ですので、厳密に松といえるかは微妙ですが、特性が松に似ていることから通称米松です。特性が似ているということは横架材に適していることです。

一般財団法人日本木材総合情報センターでも梁に最も適した素材と認定されています。

さらに、米松も檜もD1樹種というのに分類されており、薬剤処理をしなくてもいい腐りにくい木材です。根太を用いない工法を用いているため、強度優先で米松を使用しているのかもしれません。

ただ、米松はシロアリには弱いという情報が散見されます。そんな心配なシロアリ対策ですが、日本ハウスホールディングスはホウ酸による対策を施しており、初期保証は20年間です。

そして、その間なんと再塗布不要で、その期間が過ぎても、ホウ酸は半永久的な効果があります。アメリカなどではよく使われる防蟻材です。

腐りには樹種で、シロアリにはホウ酸で対策というように、住み分けをしているようです。ただ、大引に最も適した素材もヒバやヒノキとされています。

檜の家にはならない

最初に誤解が無いように言っておくと、先述した通り日本ハウスホールディングスはしっかりと構造体(土台・柱)に檜の無垢材を使っています。

しかしながら、一般的にイメージする檜の家とは乖離が発生している可能性があるのが現状です。

その理由としては、日本ハウスホールディングスは家の性能を重視するハウスメーカーであるからです。

何故、家の性能を重視することで、そのような事態に陥ってしまうのかというと、日本ハウスホールディングスは基本的に大壁工法を採用しているからです。

大壁工法とは内壁で柱を隠してしまう工法で、真壁工法とは内壁側の柱を露出させる工法です。

大壁工法のメリットは家の性能(断熱性・気密性)を上げやすいということ。

真壁工法のメリットは木を露出することで、木の風合いを出せるということ。その代わり、壁に挟められる断熱材は薄くなり、気密性も取りにくくなってしまうというデメリットがあります。

檜の家で想像するのはどちらかというと真壁工法のほうになると思いますが、日本ハウスホールディングスでは、ここ最近は真壁工法の採用はめっきり減ったそうです。

木の風合いを出したい場合は、薄くカットした檜を壁に貼り付けて真壁工法に擬態したり、構造とは関係ない檜の見せ柱をインテリアとして設置する。または、外壁に接していない柱を露出するといった形で和風建築を望まれる施主様の要望には応えています。

「檜の家 日本ハウスホールディングス」と謳ってはいますが、檜の強みが現れるのは構造体であって、内装ではないということを明確に提示できていないように感じます。

どこのハウスメーカー(鉄骨造であろうとも)でも、檜の床を採用したり、檜の板を内壁に貼ったり、檜の見せ柱を立てることは可能であるため、単に「檜の家」というだけでは顧客に伝わりにくいです。ただ、檜の内装も得意としており、檜の内装材を取り入れることが少ないハウスメーカーより、建材の仕入れ値が違ってくるといった面では、内装に檜を使う場合も日本ハウスホールディングスは適したハウスメーカーだと言えます。

他の檜の家でいうと、サイエンスホームがあります。

サイエンスホームは真壁工法を採用しており、名実ともに檜の家であると思います。

しかし、先述した通り、真壁工法は性能で劣るため寒冷地などには向かない工法とも言えますし、ローコスト住宅であるため、日本ハウスホールディングスの競合対象にはなりません。

断熱性は通常仕様で高水準オプションで最高水準

日本ハウスホールディングスのUa値は0.37w/㎡kです。これは寒冷地で普通に通用するレベルです。

壁と天井にはグラスウールを採用しており、特に壁にグラスウールを採用するときは施工力がいるとのことで、断熱性能が低下しないように細心の注意を払って施工しています。

ずり落ちと吸湿に気を付けて施工されれば、グラスウールは経年劣化の少ない断熱材です。グラスウールの施工に慣れている特定の工務店を準社員待遇で迎え、直営工事に近い形をとっています。

それに、外張り断熱を加えるとUa値は0.25w/㎡kとなり、一条工務店に引けを取らず、断熱性能は文句なしのSランクでした。しかし、外張り断熱に性能も価格も高いネオマフォームを使用しているため、坪3万弱は増額します。そうすると、増額分の回収はよほどの寒冷地でなければ困難になる上に、外張り断熱は耐震性のリスクが増大するため、本州であれば通常仕様で十分でしょう。

床断熱にもネオマフォームを採用しており、発砲系の断熱材を使用している他社と比較して、カタログ値と実数値が近くなりやすいですし、もともとが25年の経年劣化を見越してカタログ値を出しているので、初期段階の性能は誤差程度ですがさらに上といえます。

気密性は業界最高水準

日本ハウスホールディングスのC値は0.5㎠/㎡以下です。平均ではなく以下です。実数値が0.5を下回らないと引き渡しはしません。

気密性がとりにくいグラスウールと、床下断熱を使用しているにもかかわらずその数値を達成しています。

文句なしの高気密住宅と呼べるでしょう。

外壁材は自社製造タイルを推奨

日本ハウスホールディングスの標準外壁は窯業系サイディング16㎜ですが、自社製造しているタイルを採用することを推奨しています。

よほど複雑な作りでなければ、坪5~5.5万円で外壁タイルを採用できます。平米単価で言うと約14,000円ほどになります。

よく、もっと低価格でタイルに変更できたといった情報を見つけますが、それには2つのからくりがあり、一つはタイルが安いものであること。安いタイルの見分け方は細い柄で柄が並び方が一定であるものが安いタイルです。シームレスタイルとも呼ばれ、下地がまったく見えないのが特徴です。

もう一つはプレセットタイルと呼ばれるあらかじめタイルが貼られたボードをサイディングのように施工する方法です。これに関しては窯業系サイディングと同様にコーキングが必要となるため、目地が目立たない柄を選ぶのがよいでしょう。

暖房設備はセントラルヒーティング

セントラルヒーティングは北海道やヨーロッパなどでよく採用されている暖房です。輻射熱で部屋中をムラなく温めます。

基本的に24時間運転なので、家の中にいて寒い時間、寒い場所が存在しません。

寒くて朝起きるのがつらいなんてこともなくなります。床暖房のように変に足元だけ熱いということもありません。とても快適性に富んだ暖房方式です。

ただ。ネックとなるのがその導入費用。150万円程度は見ておいた方がよいでしょう。

ランニングコストも家全体を暖めるため、局所的に温めるエアコンなどより割高になりやすいです。

150万円かけて快適性を取るか、エアコンで十分とするか悩みどころだと思いますが、セントラルヒーティングは日本ハウスの強みでもあるので、寒冷地で日本ハウスで建築するならぜひ導入したい設備です。

日本ハウスのセントラルヒーティングは冷房としては使用できませんので、別途エアコンを設置する必要があります。そのことも想定しておきましょう。

換気方式は基本的に第3種またはオプションでダクトレス第1種

日本ハウスで第1種換気を採用したい場合は、ダクトレスの第一種換気で導入費用は35万円程度です。ダクト式よりもかなり安価で、メンテナンス性にも優れており、熱交換率もダクト式に引けを取りません。

しかしながら、大きなデメリットがあり居室にファンが付くという点です。各家庭のトイレなどに1つは換気扇はあると思いますが、それが居室につくイメージです。

つまり、ファンの音がそこかしこから聞こえてくるということです。慣れれば気にならなくなるのかもしれませんが、静かに動画を鑑賞したいときなどは煩わしく感じる可能性があります。

そもそも、第一種換気についてはデメリットも大きいため、積極的に導入する必要はないでしょう。3種換気で給気口の位置さえ気をつければ問題ありません。

ダクトレス第一種換気の屋外フードは、デザイン性が悪く外観を損なう恐れもあります。

日本ハウスホールディングスは真の注文住宅

真の注文住宅というのはどういうことかというと、他のハウスメーカーでは外壁などが窯業系サイディング一辺倒であることが散見されます。

そういったハウスメーカーでタイルやモルタル外壁を採用したいとなると多額のオプション費用が発生します。

事実、他のハウスメーカーでタイルとモルタルの見積もりを取った時は目を疑うものがありました。(50坪でモルタル+300万・タイル+600万~など)

日本ハウスホールディングスはタイルを自社製造していたり、モルタルやガルバリウム外壁を採用することも多いため、そこまで費用をかけずに採用することができます。

注文住宅と謳っておきながら、外壁の選択肢が狭いと釈然としないものがあります。(展示場はタイルやモルタルであると特に)

ただ、日本ハウスホールディングスにも弱点があり、タイルが2種類×3色とタイルの種類が少ないことです。リクシルなどから仕入れて施工することももちろん可能ですが、比較すると割高になることは否めません。

ただ、それは他社にも言えることで、建材メーカーから仕入れる場合でも種類を限定して価格を抑えていますので、タイルに関しては採用している種類と好みがマッチするかということも大きいと思います。

日本ハウスホールディングスの3種の神器

日本ハウスホールディングスの3種の神器は

・檜無垢柱

・外壁タイル

・セントラルヒーティング

であると考えます。

檜無垢柱以外は選択しないこともできますが、せっかく日本ハウスで建てるなら採用したいものです。

さらに、約230万円で性能を上げることもできます。

・檜3.4寸→4寸

・コンクリート強度24N→30N

・付加断熱

すると性能値はこのように変更されます。