大和ハウスを辛口評価 鉄骨編

ハウスメーカー評価

大和ハウスの基礎

大和ハウスの基礎は一体打ちの布基礎です。ベース部分と立ち上がり部分を一度に打設するため、継ぎ目が発生せず、脆弱層が形成されません。その分施工難易度が上がり、細部までコンクリートを行き渡らせることが難しい工法です。現場打設ですので、ヒューマンエラーが起きないかなどの確認は必要となります。

立ち上がり幅は外周部18㎝と業界屈指です。広い立ち上がり幅を確保することで中に入っている鉄筋の腐食を遅らせます。

主筋の太さに関する情報はどこを探してもありませんが、写真を見る限りはD13ということはないでしょう。D16またはD19以上の太さがあるように見受けられます。

フーチングの厚さや、基礎高に関する記載はありませんが、仮に建築基準法ギリギリだとしても問題ない強度をすでに確保できています。基礎高を高くすることはシロアリに対して有効ですが、鉄骨造なので、構造躯体が被害を受けることはありませんので40㎝もあれば十分です。

断熱性と気密性は鉄骨にしては健闘している

大和ハウスのUa値は0.55~0.38w/㎡kです。何段階かの断熱仕様に分かれており、最上位の断熱性のでは、鉄骨造でありながら0.38w/㎡kという数値を出すことができます。

鉄骨で構成された躯体の熱橋対策として、外側に12㎜の高密度のグラスウールを施工し、外張り断熱と謳っていますが、通常は同等以上の断熱材を50㎜以上施工する会社が多いため、それを外張り断熱と呼称してよいものなのか。事実、同社木造住宅は外張り断熱材に最低でも30㎜、最大で90㎜の断熱材を施工しています。

それによりUa値は0.1w/㎡k以上違ってくるため、0.38w/㎡kという数値から外張りの効果は数値にはほぼ寄与していないと言えます。この数値は壁の断熱材を一般工法の105㎜より厚い172㎜を施工しているからです。この商品で施工されている外張り断熱はあくまで鉄骨部の熱橋対策であることを留意しておきましょう。

床の断熱に関しては熱橋対策が十分であるとは言えず、鉄骨部と床の間に薄い断熱材を挟んでいるだけです。床暖房をしなければ底冷えしてしまう可能性は十分にあります。同社木造商品では、その熱橋対策も十二分にされておりますので、鉄骨造の限界といったところでしょう。

構造躯体の耐用年数は75年

大和ハウスの鉄骨材は80㎜角の角パイプが使用されており、耐用年数は75年です。

その秘密は「カチオン電着塗装」という、特殊なコーティングにあります。積水ハウスでも採用されている塗装ですが、大和ハウスと積水ハウスの違いはそのコーティングが全体か、それとも一部かということです。

積水ハウスのカチオン電着塗装を含む3重コーティングは耐用年数は100年とされているものの溶接部、切断部を除く1階の軸柱、下部ベースプレート、下弦材、横桟のみに採用されています。

一方、大和ハウスのホームページの情報によると、耐用年数75年の防錆塗装は躯体の隅々まで施されているということ。

その点から鑑みて、建物全体で見たときに構造躯体の性能は大和ハウスのほうが上に思えます。積水ハウスは3重コーティング部以外に耐用年数の表記がなく、判断がつけられないというのが現状ですが。

加えて、大和ハウスではタイル外壁が採用できますが、積水ハウスは採用できません。厳密に言えば採用できますが、薄い安物のタイルしか躯体が耐えられないそうです。耐えられないというより、揺れが大きくなってタイルが耐えられないのかもしれません。大和ハウスは耐震構造で、積水ハウスは制震構造であることも関係している可能性があります。

ただ、積水ハウス・大和ハウスともに鉄骨の厚みの記載がなく、3.2㎜と2.3㎜のどちらが主な構成材料になっているのかわかりません。積水ハウスでは部材に合わせて厚みを調整しているということなので、2.3㎜も使用されている可能性はあります。

2.3㎜の法定耐用年数は19年で3.2㎜は27年。木造は22年なので、厚みの薄い鉄骨造は木造に法定耐用年数で劣っています。法定耐用年数と実際の耐用年数はイコールではありませんが一つの指針にはなります。

外壁材は意匠性が高い窯業サイディング

大和ハウスの軽量鉄骨住宅の特徴の一つにオリジナル外壁材があり、窯業系外壁材となりますが、彫が深いものが多く重厚感がある見た目になります。

一般的には16㎜・18㎜・21㎜の外壁材が多い中、ダイワハウスでは25㎜の外壁材を採用することにより、深い彫を実現しデザイン性を高めています。ただ、多量の目地が発生してしまいます。

これは同じ軽量鉄骨住宅を得意とするライバル企業「積水ハウス」も同様です。

柄によっては目地を目立たなくなりますので、大和ハウスを検討する際はそのことも考慮しなければならないでしょう。

タイル外壁も採用することができますが、大和ハウスはタイルを売りにしているわけではないためDXウォールというオリジナル外壁を勧められます。

ただ、正直ニチハ・ケイミューなどの他社外壁材と明確な差はなく、目地も増えてしまうことで、これといったストロングポイントにはならない気がします。

上位外壁ベルサイクス

ジーヴォシグマプレミアムという上位モデルで採用できる外壁材でベルサイクスというものがあります。

ベルサイクスは彫の深さが12㎜でDXウォールの9㎜よりも深くなっています。

それによりさらにデザイン性を高めています。

ベルサイクスは積水ハウスと競合した際に勧められることが多いようです。

わかりやすい高級感があり、ベルサイクスであれば柄にもよりますが目地もさほど目立ちません。

結局は外壁の塗装費用が掛かる

大和ハウスの外壁材は5重のコーティングがされていますが、もちろん耐用年数があり、塗膜によって耐水性を得ているため再塗装の必要があります。

積水ハウスの営業さんも「大和さんは所詮窯業ですからね」と下に見ている感じでした。積水ハウスのダインコンクリートも再塗装の必要があるため、大きな差があるようには思えませんが、頑丈さでは積水ハウスに軍配が上がると思います。

大和ハウスの外壁は欠けがよく出るようです。(積水ハウスも欠けますが)

なぜか他社から下に見られる大和ハウス

自分がハウスメーカーをまわっている中で、なぜか大和ハウスに対する批判的な考えを持つ他社の営業さんが多かったです。

セキスイハイム・積水ハウス・住友林業・三井ホームの担当さんが

「大和さんは安いです(実際はもっと安くできるはず)」みたいなことを言っていました。

個人的には展示場など、好みの外観や内装が多く、会社の規模の大きい大和ハウスは最終候補にのころほど気に入っていましたが、なぜか他社からの批判が多い会社でした。

住友林業・積水ハウスは対等に意識し合っていて、三井ホームも両社は意識していましたが、大和ハウスだけはなぜか評価が低かったです。

どちらかというと大和ハウスは戸建て住宅より商業施設などで売り上げを伸ばしていますので、そういった背景もあったのかもしれません。

構造・性能は悪くない大和ハウス

基礎の立ち上がり幅が18㎝と業界最高水準であることに加え、壁の断熱材も184㎜と厚めにとっている大和ハウス(エクストラ断熱の場合)。

気密性も鉄骨造にしては頑張っている施主様が多かったです。

中にはC値1を切っている施主ブログも発見できました。鉄骨造としては驚異的な数値だと思います。

ただ、鉄骨は伸び縮みしやすい素材ですので、一時的なものである可能性はありますが、それでも、なかなかその数値は出ず、施主様の努力のたまものだと思います。

他にもC値2前後という情報は散見されましたので、積水ハウスの気密施工オプション並みの性能は普通に確保できているのではないかと思います。

ただ、薄いグラスウールを鉄骨の外側に入れて外張り断熱と銘打っていますが、通常の外張り断熱は5㎝程度の性能が倍近く良いボード系断熱材(フェノールフォームなど)を使用することが多いです。

一応は同じ外張り断熱ですが、いくら密度が高いグラスウールといっても性能的にはフェノールフォームなど5㎝とは全然違うと考えておきましょう。

加えて、大和ハウスは床下断熱を採用しています。つまり基礎内は外気と同じ状態になるわけですが、外気に触れると性能低下が懸念される硬質ウレタンフォームを使用し、大引も鉄製のため外気温が室内に影響を及ぼす熱橋がひどくなります。

あの手この手で頑張っているが寒冷地ではやはり厳しいか

筆者の建築地は3地域と4地域の中間にありますが、暖房に対する考え方や、床下断熱への配慮の薄さが散見されました。

提案されたのは1階リビングのみ床暖房導入。

それではトイレや自室などはどうすればよいのか・・・

結局エアコンになるなら、リビングだけ床暖房を入れてもそれは果たして快適といえるのか・・・

大阪に本社を置く会社だけあって、考え方が温暖地寄りであるようにも感じられました。